美里町は9月29日、学校部活動の地域移行についてのセミナーを町駅東地域交流センターで開いた。町内の中学生親子ら40人余りが講師の話に耳を傾け、移行に向けてのポイントを学んだ。スポーツ庁地域スポーツクラブ活動アドバイザーの久田晴生さんが講演。以前勤めていた長崎県を例に、全21市町に共通する課題として▽受け皿となる地域クラブ団体の整備、充実▽指導者の質、量、練習会場の確保▽大会、費用負担の在り方-などを挙げた。長崎県は県郵政本部や大学と連携し、各郵便局にチラシを貼って啓発を図ったり、地域クラブ活動に関わった学生の単位を認めたりといった取り組みを進めたという。「移行の仕組みづくりは学校の課題だが、定着させるのは社会の課題で、さまざまな団体と連携しないといけない」と。保護者に向けては「学校や教員の仕事でなく、自分事と捉え、自らできることを考えてほしい」と訴えた。
 大崎市独自のササニシキ系ブランド米「ささ結(むすび)」を味わう新米試食会が2日、市役所であり、米穀流通業者や提供する飲食店主らが2024年産の販売解禁よりも一足早く出来栄えを確かめた。市、古川農協などでつくる「大崎の米『ささ結』ブランドコンソーシアム」主催でブランド誕生(15年)以来の恒例事業。湯気が立ち上る炊きたてと大きなおにぎり、冷めても変わらない食味が好相性のにぎりずしにして振る舞い、試食会場の屋内広場「パタ崎さん家(ち)」はおいしそうな香りに包まれた。目も舌も一流の〝米のプロ〟たちを驚かせたのは、夏の暑さにも負けず品質を保つ高温耐性。「おいしい」「100点満点」などと評しつつ、どの顔も安堵の表情に。生みの親の永野邦明さん(元県古川農業試験場長)も「温度変化に対する強さを発揮し〝健康的〟に生育できた」と太鼓判。「ささ結」は今秋デビュー10年目。品種転換を促す市の補助金、さらに記録的猛暑で高温耐性を証明したことも追い風となり、24年産の作付面積は228ヘクタールと前年比約2倍に拡大。ササ系復権の旗頭として期待感が増す。

 第54回宮城書芸院展と教育部展が、3日から大崎市民ギャラリー・緒絶の館で開かれている。一般会員の力作や小中学生の伸びやかな作品が並び、訪れた人の目を引いている。大崎タイムスなど後援。6日まで。宮城書芸院(加納鳴鳳会長)は、同市岩出山に本部を置く書道団体。一般の部は、漢詩や短歌などを題材にした約80点を展示。加納会長(70)は「書道は『老成の芸術』。人生で味わうつらさや悲しさを背負うことで作品が成り立つ。そんな〝深み〟が感じられる作品が多い」と評価する。
 大崎市古川小野の羽黒山公園に群生するヒガンバナが、見頃を迎えている。残暑の影響で開花は平年より1週間ほど遅れたが、約15万本の〝深紅のじゅうたん〟が小高い丘を染め、訪れた人たちの目を楽しませている。同公園はヒガンバナの群生地として知られ、1976年から地域住民が環境整備を行っている。今では県外から訪れる観光客も少なくない。ことしは長引いた暑さの影響で花芽の成長が遅く、「彼岸花の里まつり」が行われた9月23日時点で見頃になったのは、木陰の一画のみだった。その後、最低気温が20度を下回るようになり、開花が進んだ。まずまずの行楽日和となった1日は、平日にもかかわらず多くの地元民や観光客が訪れ、一面に広がる真っ赤な花々をじっくり観賞したり、写真に収めたりしていた。

 宮城県民共済県北サービスセンター(大崎市古川諏訪)は、コロナ禍前まで行っていた多目的スペース「県北プラザ」の貸し出しを一部再開した。9月27日は白梅幼稚園の園児が5年ぶりに訪れ、レクリエーションや3D映画を楽しんだ。宮城県民共済は地域還元事業の一環で、所有する建物の一部を多目的スペースとして共済加入者らに開放している。しかし、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、2020年から中断していた。県北プラザは同センター敷地内にあり、190人の収容が可能。この日は年長児60人が教職員とともに訪れ、広いホールでフラフープやボールを使ったレクリエーションで体を動かした。その後、配布された3D眼鏡を掛けて3D映画を視聴。画面から怪物や海の生き物が飛び出すと、悲鳴や歓声を上げていた。
 2024年度県総合畜産共進会乳用牛の部(県畜産協会主催)が25日、美里町のみやぎ総合家畜市場で開かれ、県内一円の酪農農家が乳牛改良の成果を競った。出品されたのは月齢(1歳未満~5歳以上)と出産経験別8区分合わせて39頭で、このうち加美農業高を含む県北部の生産者が出品したのは21頭だった。県畜産試験場の菊地武場長ら審査委員3人が、各牛の頭や肩、尻など各部位の釣り合いや乳房の発達ぶりを100点満点で審査した。上位2頭に贈られる名誉賞とともに農林水産省畜産局長賞に入ったのは、大崎市古川宮沢の八巻誠さん(47)。父母らとともに30年近くにわたり乳牛を飼養していて、これまでにも複数回、名誉賞を受けている。

 歴史的、技術的価値の高い水利施設を登録する「世界かんがい施設遺産」に、大崎市鳴子温泉の山間地を潤す農業用水路「南原穴堰」が新しく加わった。市役所で登録報告会があり、関係者らは藩政時代から守り継ぐ〝生きた遺産〟の保全と利活用に意欲を燃やした。河川が遠い出羽街道中山宿の新田開発を目的に1640年代、全工程手掘りで造られた南原穴堰。総延長1880㍍のうち隧道(トンネル)部分が1330㍍。高低差5㍍の緩勾配で水流を促す測量技術、土砂排出を行う横穴「狭間」の仕組みなど当時最高水準の技と工夫が凝らされ、約380年経た現在も住民の暮らしに息づく。市は11月8日、登録記念シンポジウムを同市古川のアインパルラ浦島で開く。ICID日本国内委員長の渡邉紹裕京都大名誉教授による基調公演、地元関係者を交えたパネル討論など。参加無料。終了後は交流会もある。
 大崎市鹿島台の水中工事業「朝日海洋開発」は25日、大崎広域消防本部へ消防レスキューボート1艇を寄贈した。同社はこれまで溺水事故を防ごうと着衣泳を市内外の学校で指導してきたが、大崎管内でも頻発している水害を受け、救助活動などに役立ててもらおうとボートを贈った。レスキューボートは、全長4㍍、幅1・75㍍の6人乗り。湖や河川といった水場のほか、台風やゲリラ豪雨などで浸水、冠水した市街地でも使用でき、手こぎのほか、船外機を取り付けることもできる。本体、オール1組、フットポンプ、椅子板をセットで贈った。古川消防署で行われた受納式には、大崎広域行政事務組合管理者を務める伊藤康志大崎市長や副管理者の4町長、大崎広域消防本部の日向裕昭消防長ら17人が出席。披露されたレスキューボートを前に、安倍社長が伊藤市長へオールを手渡した。

 大崎市と古川農協などでつくるコンソーシアムは24日、第8回全国ササニシキ系「ささ王」決定戦2024(本戦11月22日、県古川農業試験場)の出品米募集を始めた。本年産「ささ結(むすび)」「ササニシキ」限定で各1点、計2点まで受け付ける。10月末締め切り。①環境②食味③生物多様性-の品質基準を満たした「東北194号」が名乗れる「ささ結」は誕生10周年。高温耐性と、品種転換を促す市の「高付加価値化米づくり支援事業」補助金が奏功し、本年産の作付面積は23年産のほぼ2倍(228ヘクタール)に達する見込み。昨秋〝還暦〟を迎えた「ササニシキ」と合わせ、コンソーシアムは決定戦を世界農業遺産「大崎耕土」のPR材料にしたい考えだ。問い合わせ先は事務局=電話0229(23)7090=。
 酒米を蒸すせいろ「甑」を起こして今期の酒造りスタートを告げる神事「甑起こし」が24日、大崎市松山の酒蔵会社「一ノ蔵」であった。ことしの新米を使った麹造りを県内の酒蔵で初めて行い、11月の発売を目指す。ことしの新米を原料とする新酒は1220キロリットル分仕込み、11月13日に県内外の酒販店やスーパーで販売する。いずれも税込みで1・8リットル入り3015円、720ミリリットル入り1375円。この日は、9月5日に収穫した酒造好適米のわせ種「やまのしずく」140㌔をの中で100度以上の蒸気で1時間かけて蒸し上げた。蔵人たちは、布で包んだコメを室温30度、湿度50~60%に保った麹室へ運び込み、一晩寝かせるなどして麹造りに取り掛かった。

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