2023/12/23


憤怒の形相ずらり

 古川工業高建築科の生徒が制作した釜神様を並べた「釜神展」が、21日からJR古川駅コンコースで開かれている。憤怒の形相をした面が駅利用者を迎え、県北独特の風習も伝えている。来年1月15日まで。釜神様は、県北地方に伝わる火伏せの神。同科3年生の造形制作班は課題研究の一環で釜神を制作していて、古川駅での展示は学習成果の発表と釜神文化を広く知ってもらう目的で、2010年から毎年実施している。今回は、コンコースの一角に生徒13人と、講師を務める加美町文化協会木彫りの会の佐々木明さん(60)らの作品15点を展示した。6月から計40時間かけて制作した面は、縦約35センチ、横約30センチの大きさ。樹皮を剥いだクリの木に、口を開けた「阿」の形相を墨付けした後、電動カンナや4種類のノミを使い分けながら掘り進めていったという。

冬休み安全に過ごして

 県北部の小中学校は、23日から来年1月8日までの17日間、冬休みとなる。2学期制を敷いている大崎地方の小中学校は22日がことし最後の登校日となり、児童生徒が冬休み中の過ごし方などについて指導を受けた。大崎市古川北小(児童数338人)では全校集会が体育館であり、齋藤竜一校長が「ことし1年間でできたこと、できなかったことを振り返り、来年どんな年にしたいか目標を立ててほしい」とあいさつ。その上で、冬休み中は「水(水の事故)火(火事)人(不審者)車(交通事故)」の四つに気を付けて過ごすよう呼びかけた。その後、各教室に戻った児童たちは冬休み中の注意点をおさらいしたり、頑張りたいことなどを発表したりしていた。

 

「全共」上位入賞目指す

 「和牛のオリンピック」とも呼ばれる第13回全国和牛能力共進会(全共、2027年8月26~30日、北海道)に向けた県の出品対策協議会が19日、発足した。1回目の協議が同日、美里町のみやぎ総合家畜市場で行われ、早期肥育などについて意見交換した。協議会は全共北海道大会で、宮城から出品する和牛の上位入賞を目指すのが狙い。県内の和牛関係団体などの代表39人が委員を務め、出品対策を進める。協議に先立ち設立総会があり、発起人である全国和牛登録協会宮城県支部の郷内弘幸支部長が「県肉用牛ブランドのさらなる維持発展を目指し、協力をお願いしたい」とあいさつ。同じく発起人の鈴木秀彦・県農政部畜産課長も「これまで同様、オール宮城で取り組むことを基本に出品対策を進めていく」と述べた。

 

高付加価値の米づくり支援

 大崎市議会12月定例会は21日、本年度一般会計に14億812万円を追加する補正予算(補正後総額683億310万円)など計54議案と、「ガザ地区における戦闘行為の即時停止と平和の実現を求める決議」「地方創生応援税制(企業版ふるさと納税)のさらなる延長を求める意見書」をそれぞれ原案可決、「現行(紙)の健康保険証の存続を求める意見書」を否決し、閉会した。補正予算に基づく事業のうち「高付加価値化米づくり支援」は稲作農家の所得安定化を目指し、市独自のブランド米「ささ結(むすび)」を含むササニシキ後継品種「東北194号」への品種転換に補助金を出す取り組み。記録的猛暑で全国的に本年産米の品質低下が深刻だった今秋、温度変化に強い「ささ結」は1等米比率90%台半ばを確保。市農政企画課は「安定的な生産が期待できる上、ブランドの魅力で比較的高値で取引されており所得増にも結び付く」と転換効果を見込む。

 

雨水管理総合計画

 大崎市は、近年多発している住宅地の雨水被害に備え「雨水管理総合計画」を策定する。8日に公表した中間案では、最優先対策地区としていずれも古川地域の江合、福沼、大江川沿線の3地区を掲げた。都市計画変更から詳細設計を経て早ければ5年後にも着工し、30年がかりで下水道を整備。将来的な浸水被害の解消を目指す。

 

笑いで一年締めくくる

 古川農協の福祉活動「わいわい茶論(さろん)」の年末特別企画「年忘れ、落語で笑(しょう)タイム!」が19日、大崎市古川穂波の大崎生涯学習センター・パレットおおさきで開かれた。管内の高齢者約150人が古典落語で楽しいひとときを過ごし、笑いでことし一年を締めくくった。出演したのは、大崎市古川出身で、アマチュア落語家団体「仙台新撰落語会」に所属する水無月亭六六さんと、仙台市出身で、春風亭一ノ輔さんの門下、春風亭与いちさん。水無月さんは「二人癖」で、お互いの口癖を口走ったら罰金を払う約束をした2人が、何とか相手を引っかけようとする掛け合いを東北弁で披露。なじみの古川言葉で観客の笑いを誘った。

 

デンマークの「スコーレ」紹介

 デンマークの教育を参考にした長期滞在型地域交流を提案する講演会が21日、大崎市鳴子公民館で開かれた。同国ロラン島在住の文化翻訳家、ニールセン北村朋子さん(58)が登壇し、地域の特色を生かす教育について解説した。県が進める「農山漁村地域づくり・地域くらし体験支援業務」の一環で、高齢化や人口減少が進む鳴子温泉地域で中長期的に観光以外で関わる人口を増やす狙い。同市三本木のコンサルタント、スリーデイズが委託を受け開いた。ロラン島で「森のようちえん」を立ち上げた北村さんは、同国で一般的な「エフタスコーレ」や「フォルケホイスコーレ」を紹介。高校進学前の青少年や休職中の成人が1~3年間過ごす全寮制フリースクールで、成績や人からの評価を気にせず学べる環境が多様性を認め合う民主的な社会をつくっていると指摘した。

 

中学生の力作たたえる

 古川ロータリークラブは15日、「第47回大崎市古川地域中学生創作展」表彰式を大崎市古川のアインパルラ浦島で行った。絵画や彫刻など5部門で入賞した生徒に表彰盾を贈り、今後の活動に期待を寄せた。同展は、青少年の健全育成を目的に実施。授業や部活動、夏休み期間に制作した作品を募集し、各中学校の美術教諭などに審査を依頼している。作品は絵画、彫刻、木工工芸、オブジェ、被服手芸の5部門で募り、ことしは公私立中学校と県立古川支援学校中学部合わせて8校から228点が寄せられた。11月8~12日に市民ギャラリー・緒絶の館で作品を展示。5日間で300人余りが訪れ、生徒たちの力作を鑑賞した。

 

栗駒山麓再び〝合格〟

 栗原市全域を対象とする自然公園「栗駒山麓ジオパーク」が14日、日本ジオパーク委員会から再認定された。11月13~15日に行われた現地審査で、荒砥沢地滑りをはじめとした災害遺産の保全と有効活用のほか、事務局の運営やジオガイドの質の高さが高く評価された。認定期間は4年間。市は今後、ビジターセンターの料金見直しや指定管理者制度の導入を検討し、持続可能な運営を目指す。