2024/5/3


「健太の〝魂〟受け取って」

 東日本大震災の津波で長男健太さん(当時25歳)を亡くした大崎市松山の田村孝行さん(63)、弘美さん(61)夫妻は4月30日、健太さんの母校古川高に自作絵本「ふしぎな光のしずく~けんたとの約束~」3冊と、野球部応援旗を寄贈した。健太さんは震災当時、七十七銀行女川支店に勤務。大津波警報が発令される中、支店長の指示で2階建ての屋上に避難したが、行員12人が犠牲になった。健太さんは半年後に見つかったものの、現在も8人が行方不明になっている。絵本は、次の世代に震災を伝えるとともに、健太さんが生きた証しを残したいと、女川で出会った東京のミュージシャンらと約5年かけて制作。寄贈式には牛来拓二校長はじめ、野球部の茂泉公己監督、千坂民美学校司書、2、3年生の野球部員とマネジャー17人らが出席した。

 

廃材に命吹き込む

 大崎市古川リサイクルデザイン展示館の「第3回展示館まつり」が、4月30日から同館で開かれている。各家庭で使われなくなった古布や木材を再利用して作った手芸品や木工品など約200点が披露され、訪れた人たちは技術の高さやアイデアの豊かさに感心しながら、じっくり鑑賞している。5日まで。

 

春風に乗ってこいのぼり泳ぐ

 5月5日の「こどもの日」を前に、大崎市古川沢田のわんぱく保育園で大きなこいのぼりが掲揚され、子どもたちを楽しませている。こいのぼりは、新園舎での生活がスタートした2015年に、市内のショッピングセンターで購入したもので、長さ4~6メートル。園児の健やかな成長を願い、毎年4月中旬から大型連休明けにかけて園舎の屋根より高く掲げている。同園によると、住宅事情などが理由でこいのぼりを揚げる家庭は年々減少。園児たちは大きなこいのぼりが揚がるのを毎日楽しみに登園しているという。2日は天気に恵まれ、職員が朝、こいのぼりを園庭の支柱に掲揚。青空の下で春風にはためく姿を、園児たちは「泳いでる」「風を食べてる」と笑顔で見上げていた。

 

美しき大崎平野捉える

 大崎市古川出身の写真家・ジャーナリスト、荒木健次さん(65)=千葉県流山市=の写真展「大崎平野~果てなく美しき耕土」が1日から、大崎市民ギャラリー・緒絶の館で開かれている。「大崎耕土」を捉えた個人による本格写真展は、世界農業遺産認定後では初めてとあって、農業関係者らの関心も集めている。7日まで。朝露にぬれて輝く稲穂や、鮮やかなコントラストをなす青い空と白い雲など、大崎平野の美しい光景を再認識させる57点を展示。中には27枚の組み写真もある。車で移動中、心奪われた瞬間に愛用のミラーレスカメラを構えるのが荒木さん流。地平線の向こうに山が見える広大な風景や、画面の大半を空が埋め尽くすアングルで撮影した作品もあり、訪れた人たちは一点一点に足を止めて見入っていた。

 

古川高3連覇

 築館高と古川高の「第65回臙紫定期戦」は4月21日と25日、築館高を主会場に開かれた。両校の運動部が全力を尽くした結果、古川高が9勝6敗で2015~17年以来となる3連覇を果たし、〝敵地〟で凱歌を歌った。1956年から続く伝統の大会。新型コロナウイルスが5類に移行した昨年から例年に近いかたちでの開催に復帰し、ことしは9競技15種目を実施。男女綱引きや応援団による応援合戦、生徒会長同士のやじの応酬など、恒例の競技、行事も行った。通算成績は古川高の44勝17敗3分。

 

6月にコンサート

 登米市米山町出身の歌手、藤原彩代(本名・藤原志保)さんは1日小社を訪れ、6月2日正午から登米祝祭劇場大ホールで開く「新曲発表コンサート」をPRした。新曲は「ねぎらい酒」(久仁京介作詞、徳久広司作曲)で、カップリング曲が「呑も呑も」。ねぎらい酒は、作詞家にふるさとを想う心を詞にしてもらったという。藤原さんは20年前、学業を終えると歌手を目指して単身上京し、池田考春さんに師事。「おさい銭」でデビューした。その後、帰郷して実家の農業を手伝い、野菜、コメ、栗、シイタケ栽培に携わる。その傍ら、地元でご当地歌手として活躍している。