「南原穴堰」世界かんがい施設遺産に
国際かんがい排水委員会(ICID)は3日、江戸時代掘削の農業用水路「南原穴堰」(大崎市鳴子温泉)について、水利施設の歴史的、技術的価値を認める「世界かんがい施設遺産」に登録した。東北地方で8カ所目、県内では「内川」(同市岩出山、2016年登録)に続き2カ所目。南原穴堰は出羽街道中山宿、鳴子温泉南原集落の新田開発を目的に1644年から3年がかり、全工程手掘り開削と伝わる。大谷川支流が取水源で、延長1880メートルのうち地中を通る隧道が1330メートル。集落住民でつくる水利組合が機能維持に取り組み、現在も山あいの水田約25㌶を潤す〝生きている遺産〟として高く評価された。ICIDの国際執行理事会(オーストラリア・シドニー)で登録表彰式があり、伊藤康志市長、上野耕作水利組合長らが出席。伊藤市長は「先人が残してくれた歴史、技術が世界から認めてもらったことは大変光栄。関係皆さまと一層連携を深め、磨きをかけていく」との談話を出した。
「北浦梨」甘み上々
9月に入り、美里町特産「北浦梨」の収穫が本格化している。生産者と町によると、今夏の猛暑の影響で例年と比べ成長が早まったほか、甘みも増している。同町の国道108号沿いに並ぶ直売所には酷暑の反動からか、秋の味覚を求める人たちが次々に訪れ、午前中に売り切れる店もちらほら。町特産品が当たるフェアも開かれている。北浦梨は、明治期に旧北浦村で栽培に成功したのが始まりとされ、大正期に生産農家が急増した。県内4大生産地の北限で、現在は30戸余りが計約900アールで幸水や豊水、あきづきなどを生産している。
地震起きたら〝ダンゴムシ〟
わんぱく保育園(大崎市古川沢田、園児数88人)で2日、「総合防災訓練」が行われた。地震を想定した避難訓練のほか、非常食の試食や洪水に関する紙芝居もあり、子どもたちは災害に対する備えを楽しく学んだ。同園は地震や火事、不審者などさまざまな事態に備えた避難訓練を毎月行っている。この日の総合防災訓練は防災週間(8月30日~9月5日)に合わせた拡大版で、地域防災の啓発活動をしている一般社団法人バーズアイの協力を受けた。避難訓練では、子どもたちは大人の指示を素直に聞いて床に丸まる「ダンゴムシのポーズ」で身を守り、列を作って整然と園庭へ脱出。その後、2歳児はあらためて保育室でポーズや整列を練習し、3~5歳児はホールで流域治水の紙芝居を鑑賞した。
宿泊税 宿泊事業者から反対の声
県は、県議会9月定例会への提出を目指している宿泊税について、2日、導入に向けた説明会を大崎市鳴子公民館で開いた。出席した宿泊事業者からは「合意が取れていない」「時期尚早」などとして再考を求める意見が相次いだ。説明会で出席者18人からは「物価が高騰する中、入湯税に重ねての課税」「宿泊事業者を狙い撃ちにするのは納得できない」「宮城としてのビジョンを示し、共感と納得を得ていることが前提」「税額の一部交付は丸投げと実質同じ」などと反対の声が噴出した。鳴子温泉郷旅館組合5地区連絡協議会の藤田謹一会長代理は「税は合意を得られた段階で導入すべき。いったん白紙に戻した上で観光振興に向け現場と話し合うべきだ」と訴えた。
5年ぶり地区民文化祭
大崎市古川東大崎地区の第23回地区民文化祭が1日、旧東大崎小体育館で開かれた。文化祭は隔年開催しているが、今回は新型コロナウイルスの影響で5年ぶりに実施。文化祭に先立ち敬老会も行われ、約350人の地区民が参加して長寿を祝ったり、演芸や作品展示を楽しんだりした。敬老会の対象となる77歳以上の地区民は454人(男性173人、女性281人)。4月1日現在、100歳以上は7人(男性1人、女性6人)いて、最高齢は102歳の女性。同地区の敬老事業は長年にわたり東大崎婦人会が担ってきたが、会員の高齢化や後継者不足で3月に解散、設立から73年に及ぶ歴史の幕を閉じた。この日の敬老会では、婦人会に替わって敬老事業を主催していくことになった東大崎地区振興協議会の千田清憲会長(76)があいさつし、記念品の贈呈などを行った。地区民文化祭のステージは、古川西小中生有志による太鼓の演奏で幕開け。ハーモニカ合奏や踊り、3B体操のグループ、古川西小中吹奏楽部などが出演して会場を盛り上げた。また、東北弁落語で知られる六華亭遊花さんが特別出演し、巧みな話術で観客を笑わせた。
東北の再エネ県内へ供給
トヨタ自動車東日本(大衡村)は2日、同社などが参画している「東北自動車産業グリーンエネルギー普及協会(TAGA、岩手県金ケ崎町)」の再生可能エネルギー小売り事業を10月から宮城県内で始めると発表した。すでに岩手県内で行っている事業を拡大し、再生可能エネルギーの拡大を図る。鬼首(大崎市)など東北3カ所で地熱発電所を運営する電源開発(Jパワー、東京)と7月29日付で再エネ電力の卸供給に関する契約を結んだ。地熱発電所で発電された再エネ電力の全量をTAGAが購入。トヨタ東日本宮城大衡工場を中核に第二仙台北部中核工業団地(大衡村)の企業が連携してエネルギーの管理・供給に取り組んでいる「F−グリッド宮城・大衡有限責任事業組合」やトヨタ東日本宮城大和工場(大和町)、県内の自動車関連企業で10月1日から利用する。
倉元製作所 ロボット事業11月から
液晶パネル向けガラス基板加工業の倉元製作所(栗原市若柳武鎗)は2日、AIを活用した全自動業務用掃除ロボットの開発・販売を行う中国系企業のアイウイズロボティクス(東京、王馳社長)と株式交換契約を正式に結んだと発表した。アイウイズを完全子会社化する一方、ロボットの製造組み立て業務を11月から受託し、営業もサポートする。
コメントをお書きください